「先生のその言葉を聞いて、私嬉しくてね。すぐにでも杏に伝えたくて、教室に探しに行ったの。でも、遅かった。私が杏を追いかけて1階に戻った時には、もうそこに杏は居なくて、入江先輩と井関先生が揉めているところだった……」
少しずつ、少しずつ、何かがズレてしまっていた。歯車がかみ合わないように、先生との距離が出来てしまっていた……。
「杏……もう、先生とすれ違わないで……」
ミカの頬を涙がつたう。
「ミカ……」
ミカが泣くなんて……。
「先生が目を覚ますまで、杏がしっかりしなきゃ駄目じゃん」
ミカは必死に涙を拭う。
「もう……後悔しないで……」
「ミカ……うん、うん……ありがと……」
ありがと……。
ミカが居なかったら、私は真実を知らずに過ごしていた。
『先生がいなくなったら 私も死ぬ』そんなこと言ったら、また先生に怒られちゃうよね。