「井関先生が杏の下駄箱にアールグレイと手紙を入れているのを、あの日見てしまったの」
「あの日……」
「うん、それで聞いたんだ。ずっと杏の下駄箱に、アールグレイと英語の手紙を入れ続けていたのは、先生だったって教えてくれた。英語が苦手な杏が、英語教師で担任の自分のところに聞きに来るであろう予想はしてたって。先生は故意に、杏が自分の所に来るように仕組んだって」
「……」
偶然じゃなかった?
あの日、コンビニで会ったのも、このアールグレイが下駄箱に入っているのを見て「誰かの差し入れか?」って。その時、私が先生に手紙を見せるように、先生が全部……。
「杏、先生はずっと杏が好きだったんだよ」
「……」
先生が?
偶然じゃなかった……必然だった……。
私が先生を好きになるより先に、先生は私を見ていてくれたの?