いつも私の下駄箱に入っていたアールグレイと手紙を、職員室に行く前によく井関先生に見せていたよね。

 急にそんなことを思いながら、そっと【篠田 杏】そう書かれた下駄箱を開けると、ドキンと心臓が震えた。

「な……んで……?」

 懐かしい……そこにはアールグレイと手紙が入っていた。

 どうして……。

 先輩はもう卒業してこの学校には居ないはずなのに。

 もうずいぶん届くことのなかったアールグレイと手紙が、今、目の前に置かれていた。

 震える手で手紙をそっと開いた。

『If we can laugf together again……。また君と笑い合えたら……。From the one that loves you―あなたを愛する者より―』

“あなたを愛する者より”懐かしい手紙。

 なんだろう……このホッとするような気持ちは。この手紙が、こんなにも嬉しいと感じるなんて。