井関先生が眠りについて、もう2週間。
先生は男に脇腹を刺され重体だった。
今でも鮮明に思い出す。砕けた茶色の瓶が、先生の血で赤く染まった瞬間を……。
雨で濡れた先生の身体が、どんどん赤く染まっていく瞬間を……。
一般病棟に移ったのは、ついこの間。命は取り止めたものの、まだ目を覚まさない。
停学になった私は、先生の所にも行けず、どうすることも出来ない。何も出来ないまま時間だけが過ぎていった。
泣き過ぎて、涙も枯れた……。
このまま先生が目を覚まさなかったら? そう考えただけで、吐き気がする程の不安感。