グイッ!

「きゃあっ」

「それが腹立つって言ってんだよ!!」

「いっ……やぁ!」

 先輩は、無理やり私にキスをした。

 キーン コーン カーン コーン……。

 チャイムが鳴ったと同時に、暗かった廊下の蛍光灯に明かりがついた。

 目を開いた足元に、3つのシルエットが見える。

 その先には――。

「……せん……せ……」

「杏……」

 井関先生の動きが止まる。

 見られた……先生に……。

「杏……」

 先生に――。

 私は先輩の手を振り払い、そのまま学校を飛び出した。

「杏!!」