週1の3年生の登校日。

 久しぶりに入江先輩に会った放課後、私はもう一度、入江先輩に自分の気持ちを伝えようとしていた。

 教室の前まで迎えに来ていた先輩と学校を出るため、下駄箱のある一階へ向かっていた。まだ早い時間にもかかわらず、窓の外はすでに暗くなり始めていた。まだライトの付いていない廊下を歩く私たちは、窓の外から入るわずかな 街灯の明かりに照らされていた。

「……入江先輩」

「んー?」

「先輩はどうして、私と付き合うの?」

「……まだそんなこと、言ってんの?」

 低くなった先輩の声のトーンで、ムッとした感じが伝わってきた。

「先輩はすごくモテるじゃない。他校の女子からだって人気があるし、美人な女性と付き合っていたってウワサも聞いたし。私じゃなくたっていいでしょ?」

「杏!」

 突然、先輩が張り上げた声にビクッと体が浮いた気がした。その声が誰もいない暗い廊下に小さく響いていた。

 それでも私は引くわけにはいかなかった。

 先輩の言葉にいつまでも怯えているわけにはいかない。