「ミカ……」

“想い続けていたい”

 ミカがそんなふうに言うなんて……。

「せめて自分の気持ちを伝えてから諦めたいって、私なら思う」

 そう言うとミカは笑った。

「自分が強くなれるなら……か」

「うん」

 私もそうかもしれない。

 先生と出会って私は変わった。やりたいことも、目指す道も、先生がそこにいてくれるのなら頑張れる気がした。

 恋がどうとかじゃない。先生が応援してくれるなら強くなれる気がした。

「でも、今みたいなボロボロの杏のままなら、そんな恋やめちゃいなー。あ~お腹空いたー」

 ミカは冗談まじりのキツめの言葉を言うと、メニューに目をやった。

 そんな言葉がミカらしい。

 うん、そうだね……。

 先生を好きだとミカに伝えた時から、この恋は苦しいものになってしまうと、ミカは言っていたよね。それを承知で、私は先生を追いかけた。

 他の人も目に入らないくらい、夢中になってた。

 先生にとって私はただの生徒でも、それでもいいとそう思った。

 先生に会えて、先生と笑いあえて、ただそれだけでいいと、あの時は思っていたのに……。

 どうして恋をすると人は、それ以上を求めてしまうんだろう。

 その先は無いと、わかっていても――。