紅茶を飲む度、あのアールグレイを思い出す。

 先生も好きだと言ってくれたアールグレイを……。もう届かなくなってどれくらいが経つんだろう。

 私の下駄箱にアールグレイと手紙が届くようになって、まだ1年も経っていないのに、ずっと昔のことのように感じる。

「杏のこと、ずっと気にはなってたけど、杏から連絡くるのを待ってたんだ」

「……ごめん……」

「杏が何か隠していること、なんとなく気付いてたから……」

「……」

 ミカは一口ホットココアを飲むと、話を続けた。

「杏から話してくれるまで待ってようと思ってた」

 私の目からまた涙が落ちた。

「ごめ……ごめん……ミカ」

 始めからミカに話していれば、こんな気持ちにはなっていなかったかもしれない。始めからミカに相談していれば、何か解決策があったかもしれないのに。

「ごめん……」