葉の落ちた寒そうな木々。枝の隙間から、冬空がよく見える。

 泉屋の窓からの景色も、ずいぶん変わっていた。

 もうずっと泉屋に足を運んでいなかった。

 ここに来るとまた先生に会ってしまいそうで、その度心が壊れてしまいそうで怖かった。

 店内は冬の木々が描かれたタペストリーと、厚手のテーブルクロス。心なしか、店内はダウンライトになっている。うるさくない程度に流れる音楽も、暖かみを感じる。

 店内は冬一色になっていた。

 優しい店員のお姉さんはかわらない。

 大きめのカフェオレボールから、やわらかい湯気がのぼる。温かいロイヤルミルクティーを飲んだ。

「落ち着いた?」

 ずっと私を見つめていたミカが口を開いた。

「……うん」

 まだちょっと鼻声だ。