キーンコーン、カーンコーン……。
遠くにチャイムの音がする。今日も遅刻。
私は学校近くのコンビニで、雑誌を立ち読みしていた。
遅刻ギリギリのこの時間、コンビニ前を焦るように走り去る生徒たちを何度も見送って、私はそのまま手に持つ雑誌に目をやった。
こんなこと以前は毎日だった。いまさら遅刻なんて恐くもない。
プルル。メールの着信音。ポケットのスマホを取り出すと、それは入江先輩からのメッセージだった。
【杏、今どこ? まだ学校に来てないみたいだけど】
私はスマホの画面をOFFにすると、カバンの中へ放り込んだ。
最近また遅刻が増えた。休むこともよくある。
正直、学校に行こうと思えていただけ以前の方がまだマシだった。
今は出来ることなら学校にも行きたくない。
先輩に会いたくない……。