「杏ー! バイバーイまた明日ねー」

「バイバーイ」

「あーうん……」

 部活を終えたばかりなのか、同じクラスの女子たちが声をかけてきた。もうそんな時間なのかとスマホの時計を確認する。

「杏どうしたの? なんだか元気ないね」

「え? そうかな?」

「うん、なんだか最近痩せたよね?」

「え……」

「杏!」

 そこに入江先輩が3年生の階から降りて来ていた。

「あ、入江先輩と待ち合わせだったんだね。じゃあねー」

「うん、じゃあね」

 私はみんなに手を振り、一階へ続く階段へ歩を進めた。

「杏、すごく痩せたよね?」

「そうだよねー。入江先輩の彼女なんだもん、綺麗でいなきゃって気にしてるんじゃない?」

「うわーキツーイ。そんなんでダイエットとか、アタシには出来ないわー」

「あはは! あんたじゃ無理無理ー」

 みんなのヒソヒソ話が私の耳には届いていた。