生徒は誰1人、怪我した者はいなかったが、井関先生が手に火傷を負ってしまい、手当てをするため保健室に向かっていた。

 私は井関先生に謝りたいと羽山先生に許可を得て、井関先生と一緒に保健室に来ていた。保健の先生はもう帰って居なく、井関先生は火傷した箇所を冷やすしか出来なかった。

 先生の手の甲は真っ赤に腫れ上がり、ビニール袋に入れた氷を患部に当てるのさえ痛々しく見えた。

 私のせいだ……。

「……ごめんなさい……」

「……」

 先生は私の顔を見ないまま、手を冷やし続けていた。

「俺に謝るなら、他の生徒や羽山先生に謝れ」少し怒った口調でそう言った。

「……」

 私は何も言い返せず、うつむいた。