「キャー!」

「キャー!」

 逃げ惑う生徒の姿に、みんながパニックになっていた。

 その時、井関先生が調理室に飛び込み、着ていたジャケットで炎を覆い、火を消した。炎が周りの物に移ってしまう前の、間一髪。

 火災報知器のサイレンが止まるころ、学校に残っていた先生たちも調理室に駆けこんできた。

「大丈夫かー!?」

 先生たちは座り込む生徒たちへ声をかける。

 ぐったりと、呆然とする生徒たちの顔は疲れ果て、泣き出す生徒の姿も見えた。

「井関先生ありがとうございます!!」

 羽山先生がホッと息をつきながら、井関先生に近づき、頭を下げた。

「みんなは大丈夫ですか? 怪我は?」

「えぇ、平気そうです。みんな大丈夫ね?」

「はい……」
「はい……」

 みんなはポツポツと小声で返事をする。

「……」

 私は言葉が出ず、立ち尽くしていた。