「ねー篠田さん、入江先輩と付き合ってるんだって? すごいねー、あの人モテるんでしょ? かなりのイケメンだもんねー」

「篠田、入江先輩と付き合ってんだ?」

「入江先輩と付き合ってるー? いいなぁ。うらやましー」

「杏にもやっと彼が出来たかー、良かったねぇ」

 学校は私と入江先輩の話で持ち切りだった。

 ウワサって怖い……こんなにも一瞬で広まるもんなんだ……。入江先輩が有名だからってこともあるのかな。

 私は、入江先輩のあの時の言葉に従うしかなかった。

「杏! ちょっと、どういうことよ!」

 私のところにすごい勢いで走り寄って来たミカが、息を切らし、声を荒らげながら言った。

「入江先輩と杏が付き合うって、リクから聞いてビックリしたんだから! わざわざ入江先輩がリクに言いに来たらしいよ。それに学校中が杏と入江先輩のことで騒いでるし」

「あぁ……うん」

「うんって、本気!? 先生は? 先生のことはもういいの!?」

 ミカが悲しそうな顔で私を見つめる。