学園祭も終わり、いつもの毎日に戻った。
放課後は部活に精を出す生徒。相変わらず恋話(こいばな)で盛り上がる生徒。メイクを完璧に施し、遊びに行く計画をたてる生徒。学園祭とは違いみんな向く方向は変わっても、賑わう教室は、以前と何も変わらない。
放課後遅くまで残り、あんなに盛り上がっていた学園祭が嘘のような気がしてしまう。
変わったことといえば、私が料理の勉強を始めたということ。調理師専門学校の資料を集め、そして学校の料理部にも入った。途中からの入部も、顧問の羽山先生は快く迎え入れてくれた。
それは担任としての井関先生の口添えがあったからだけど。
私の夢を理解してくれる人。
井関先生とも、前以上に話すことが増えた。
それはもちろん進路のことになるんだけど。それでもよかった。それだけで、幸せと感じられた。
生と会えることが、話せることが、見つめられることが、私のパワーになっていた。
ねぇ、先生。
あなたは私にこんなにもパワーをくれる。私はどんな存在?
私みたいな子供を、先生はなんとも思っていないかな?
先生がいてくれたら、私はどんなことでもきっとできるよ。
だけど、心とはうらはらに、事態は悪化していることに私は気付いていなかったんだ――。