「今日のオリジナルコロッケ、最高だったよ」

 先生……。

 先生が言ってくれる言葉が、本当に嬉しかった。

「誰かが美味しそうに食べているのを見たり、美味しかったって何度も買いに来てくれる人がいたり。作って良かったなぁって感動したんだ。将来こういう仕事が出来て、私の作った物を食べて笑顔になる人を見られたら幸せだろうなぁって」

「杏、いい夢が見つかったな」

「うん!」

 それはね、先生のおかげでもあるんだよ。

 私は楽しみも、嬉しいと感じることも、何も見つけられずにいた。先生がいなければ私は多分、学校にも来なくなっていたかもしれない。どこまで出来るかなんて今は分からない。でも、頑張ってみたいと思える気持ち。それは先生が気付かせてくれたものなんだよ。

 最初で最後の私たちの学園祭が終わろうとしている。窓の外は遠くに茜色。  少しずつ日が沈むのを感じながら、みんなの賑やかな声を遠くに聞いていた。

 先生は微笑みながら、そっと窓の外に目をやった。

 先生の顔がオレンジ色に染まる。光が眼鏡を反射して、キラキラ……。

 先生を好きになって、私は変わった。

 自分でもわかるくらい。

 先生を好きになって、良かった。

 キラキラ、キラキラ、私の目に映る先生がいつまでも、ずっと、輝いていますように。