片付けをしながら、みんながポツポツ話し出した。
「でもさ、オレたちってスゴくね?」
「そうだよね、屋台やってるのだって、うちのクラスだけじゃないし。焼きそばだって、他の学年もやってるし。それがこんなに早く完売ってね」
「うちらってスゴいんだよ!」
「よほど美味しかったんだなー。うちの母ちゃんなんて3度くらいコロッケ買いに来てたわ」
「あはは、うちの親もそうかもー」
みんなの大きく笑った。
「篠田のお陰だな」
「え……」
いつの間にか、みんなが私の周りに寄って来ていた。
「そうだよ、杏が色々アイデア出してくれたから」
「ミカ……」
「テキパキ指示出してくれたしね」
「何の失敗もなく終わることが出来たし」
「こんなに料理できるなんて、知らなかったよなー」
「これは篠田、表彰モンだな!」
みんなしきりに私を褒める。褒めすぎなんじゃんないかってくらいの持ち上げ方に、すごく恥ずかしくなった。でも……素直に嬉しい。
「みんな……ありがとね……」
「良かったね、杏」
ミカが隣で笑った。
「うん」
嬉しかった。
こんなふうに、みんなに言ってもらえるなんて考えもしなかった。ただ、お母さんの手伝いで料理をよくしていただけなのに、それがこんなふうに、みんなの役に立つなんて。
学園祭での出し物が決まった時には、こんなことになるなんて思いもしなかったこと。
こんなに感動することがあるなんて、考えもしなかったことだ。