学園祭当日は朝早くから準備に追われていた。11月なのにギラギラと照らす太陽がまるで夏の暑さを思い出させて、みんなの体力を奪っていく。それでもみんなは嫌がりもせず働いていた。
それくらい今日の学園祭が、みんなにとって楽しみなイベントだった。
「朝早くから、みんなご苦労様です」
クラス委員長が話し始めた。
「私たちの学年は、今日の学園祭が高校3年間の中で、最初で最後の学園祭になります」
とにかく真面目で、堅物の委員長の言葉。
「みんな悔いの残らないように……っていうか、頑張ろー!」
「おー!!」
委員長らしからぬ意外な言葉に、みんなのテンションが上がった。
その様子を、井関先生は何も口出しせず、微笑みながら見ていた。