「“あなたを愛する者”なんて、素敵~ロマンチック~!」

 ミカの目がハートになっているのが、よくわかる。ミカは昔から、こういうロマンチックとかいうものが大好きだ。

「今時、手紙ってどうかと思うけどー」

 私はそんな夢見るミカに、お構いなしに言った。

 まぁ確かに、いきなり知らない人から告白メール送ってこられても、引くけどね。

「まったく杏はいつもそれ! クール過ぎんのよ!」

 ミカのいつもの説教が始まった。これも“耳タコ”だ。

「でも杏、英語の手紙なんてよく読めたね」

「あ……うん、まぁ……」

 一瞬「ギクッ」という漫画であるような言葉が心の中に響いた。

 そこに井関がいたから訳してもらったなんて、言えるわけない。ビクビクしながらミカを見ると、その手紙を興味津々に何度も眺めていた。