学園祭まで残りわずか。
クラスでの準備もラストスパート。連日学校に残っての屋台の看板作りも終わり、食材の最終確認だけになっていた。
「ねぇ杏、パッケージこんなんでいいかな?」
焼きそばやコロッケ、アメリカンドッグを入れる、プラスチックや発泡スチロールのフードパックには、井関先生が作ってきてくれた、クラスが書かれたシールを貼った。
「いいじゃん! オッケー、オッケー! かっこいいね!」
時間がないと焦ってはいても、みんな細かな作業まで丁寧で、学園祭の一つの出し物としてはずいぶんなクオリティなんじゃないかと思う。
「篠田ー、キャベツの量の確認だけどー」
「あ、まってー、キャベツは焼きそばにも使うからー。この間みたいに全部千切りは駄目だよー」
いつの間にか、みんなは私に意見を仰ぐようになっていた。私はコロッケ担当で、焼きそばやアメリカンドッグは違う生徒が担当するはずなのに、すべての管理を私がしているような感覚になっていた。それでも、その意見をみんなは聞き入れてくれる。クラスも団結し、準備のペースも日に日に速まっていった。