「篠田さんをリーダーにして正解だね!」
1人がそう言った。
「時間ないけど、どうにか出来そうじゃない? コロッケチームも」
「他の物より美味しかったって言わせようぜ!」
「頼むぞ、篠田!」
みんなは張り切っている。
クラスの輪の中で笑うことなんて、クラスのみんなに頼りにされることなんて、私には考えられなかったこと。みんなと笑い合う私を、井関先生は微笑みながら見つめた。
「あら? ここにあったキャベツ……明日違うクラスの生徒が使うことになっていたんだけど」
羽山先生が食材の入ったビニールをガサガサと見始めた。
ふと見ると、みんなが曇った顔をしている。その横に置かれたボウルには山盛りになった千切りキャベツが積まれていた。
「……まさか、ミカ……」
「ちょっと夢中になっちゃって、切る練習だって、みんなで使っちゃった……」
「こんなに、たくさん?」
私と羽山先生が唖然とする横で、井関先生は「ぷっ」と噴き、笑い出した。
「先生なに笑ってんの!? もう」
他のクラスに迷惑がかかっちゃうのに。