「ちゃんと届きますように!」
「変な人」
ポストに拝んでいる成田さんを少し離れたところで見る。
近くを通る人が不思議そうに成田さんを見ているから、傍にいると僕まで注目されるだろ。
ここは距離をおいて他人のふりだな。
「瑞季くーん!」
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、大きな声で僕の名前を呼び距離を詰める。
そしてニヤッと笑ったから、僕の気持ちを知っての行動だと確信。
ほんといい性格をしている。
「行こっか」
「…………」
横目で睨むように見ても、成田さんは表情を崩さない。
「いろんな顔するようになったね」
それどころか感慨深そうに言われるから、僕が負けた気分になる。
感情を表に出さないようにしてきたはずが、成田さんと絡むようになってからは自然と出てしまう。
悔しいから睨むのもやめて表情を戻した。
「瑞季くんってほんとおもしろい。わかりやすいわ」
「嬉しくない」
「わたしは嬉しいけどね」
以前言われた通りになっている。
成田さんにいろんな感情を作り上げられている感じだ。
「やっぱり瑞季くんといると楽しいな」
「変わってるね」
「類は友を呼ぶって言うし、わたしが変わってるなら瑞季くんも変わってるよ。似た者同士」
「それはちょっと嫌だな。成田さんと似た者同士は精神的にくる」
「どういうこと!?」
「そのまんま」
キィー!とサルみたいに怒る成田さん。
これと同じはキツイな。
僕ってこんな感じではないよな?
一瞬考えたけど、すぐに自分の中で違うと結論が出た。
「瑞季くんのばか!」
「ばかって言うほうがばかって言うだろ」
「そればかの人が悔し紛れに言い返す定型文!」
「はぁ!?」
カチンときて、足を止め成田さんを見る。
成田さんも同じように僕に体を向けて、ケンカ腰。