君が僕にくれた余命363日


「ちゃんと届きますように!」
「変な人」


ポストに拝んでいる成田さんを少し離れたところで見る。

近くを通る人が不思議そうに成田さんを見ているから、傍にいると僕まで注目されるだろ。

ここは距離をおいて他人のふりだな。


「瑞季くーん!」


そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、大きな声で僕の名前を呼び距離を詰める。

そしてニヤッと笑ったから、僕の気持ちを知っての行動だと確信。

ほんといい性格をしている。


「行こっか」
「…………」


横目で睨むように見ても、成田さんは表情を崩さない。


「いろんな顔するようになったね」


それどころか感慨深そうに言われるから、僕が負けた気分になる。

感情を表に出さないようにしてきたはずが、成田さんと絡むようになってからは自然と出てしまう。

悔しいから睨むのもやめて表情を戻した。


「瑞季くんってほんとおもしろい。わかりやすいわ」
「嬉しくない」
「わたしは嬉しいけどね」


以前言われた通りになっている。

成田さんにいろんな感情を作り上げられている感じだ。


「やっぱり瑞季くんといると楽しいな」
「変わってるね」
「類は友を呼ぶって言うし、わたしが変わってるなら瑞季くんも変わってるよ。似た者同士」
「それはちょっと嫌だな。成田さんと似た者同士は精神的にくる」
「どういうこと!?」
「そのまんま」


キィー!とサルみたいに怒る成田さん。

これと同じはキツイな。

僕ってこんな感じではないよな?


一瞬考えたけど、すぐに自分の中で違うと結論が出た。


「瑞季くんのばか!」
「ばかって言うほうがばかって言うだろ」
「そればかの人が悔し紛れに言い返す定型文!」
「はぁ!?」


カチンときて、足を止め成田さんを見る。

成田さんも同じように僕に体を向けて、ケンカ腰。