今から誰にも余命を渡さなくても、あと15年しか生きられないんだ。
少なすぎるだろ。
早すぎるだろ。
「あははっ、そんなに少ない?あと20年くらい?」
明らかな空笑いに一瞬動揺を見せてしまった。
「……教えない」
「………それって………」
「瑞季!花純!いるかぁー!!」
成田さんが何かを言いかけた時、ドアが勢いよく開かれる音とジローの声。
忘れかけていたけど、今はかくれんぼ中で僕たちは隠れていたんだ。
「もうここくらいしかないだろ」
「ジロー、あと10秒」
「うわっまじか!」
木下さんの声も聞こえた。
そしてカウントダウンを始める。
ジローの足音が近づいてくるけど、まだ気づかれていないようだ。
隣を見ると、成田さんと視線が絡まる。
緊張が走る。
木下さんの声に合わせて、心の中で僕もカウントダウンをした。
「ゼロ!」
「うわぁ……」
木下さんの終了を知らせる声と、ジローの悔しそうな声が響く。
「まじでどこだよ、あのふたり」
「ここだよ!」
ジローの言葉に反応した成田さんがひょこっと立ち上がる。
そして、僕の手を掴んで立ち上がらせた。