君が僕にくれた余命363日



「あ……」
「何?」
「いや、ちょっと思い出したというか。でもさ、わかった」
「何が?」
「試してみればよくない?瑞季くん余命見えるんだから」
「そんな軽々しく試すようなものじゃないだろ」
「いい案だと思ったのに」
「そうでもないよ」


もしそれで、1日とかじゃなくて1年渡してしまったらどうするんだ。

1日だって貴重だというのに。

こんなこと、試すようなものではない。


「あともうひとつ」
「まだあるの?」


成田さんは嫌そうにするけど、この際だから気になることはすべて聞いておきたい。


「死んだ人にしか渡せない?」
「瀕死の人や死んだ人、動物にしか使ったことない。試す?」
「いや、それはいいって」
「そっか。でも、なんとなくわかるんだよね。この人に必要だって」
「見えるの?」
「直感かな」


成田さんはそれだけで生きているような気がするな。
直感だけで。


「ふーん」
「瑞季くんから聞いてきたくせに、何でそんな素っ気ない返事なの」


そう言われても、これが今の僕の精いっぱいだった。

成田さんは何を言っても茶化す。

意志は何ひとつ変わらないらしい。

けっこう頑固だということはすでに知っているから。


「べつに」
「もう、瑞季くんは相変わらずだな。でも瑞季くんが心開いてくれてうれしい」
「開いてないけど」
「え?開いてないのに、こうして一緒にかくれんぼしてるの?」
「…………」


返す言葉がない。
けど、にやついている成田さんにはむっとする。