君が僕にくれた余命363日


「体育の時にスズメが大きい鳥に襲われて2羽落ちてきたの」
「あと1年分は」
「学校で有名な野良猫がいるんだけど、誰かが悪いものでも食べさせたのか倒れて嘔吐して虫の息だったから」


有名って僕はそんな野良猫いたこと知らないし。

それで3年分も成田さんの余命を渡すのか。

何とでもないようにする成田さんに、僕のほうがよくわからない感情で押しつぶされそうになる。

成田さんがなんともないようにしているから余計に気にかかるのだろう。

僕だけは『余命を知っていて』と言ったはずの成田さんが、僕に触れないようにするなんて一体どんな気持ち?


「……やめなよ」
「ん?」
「余命あげるの、やめなよ」
「瑞季くんは心配性だね」


心配性、というか普通に心配だろ。

怖くなるだろ。

こんなペースでいくと、今年中に使い切りそうだ。


「わたしがいいからいいんだよ」


誤魔化しではなく本心の笑顔。

そっちのほうが、見ていて苦しくなる。

よくわからないけど、心が痛い。
これ以上は何も言えなくなる。


「……余命は1年単位でしか渡せないの?」


『やめて』と言っても、成田さんは強い思いを持って渡している。

だから、仕方なく僕が折れる。

まだ成田さんの能力で気になっていることはあった。


「うーん、わたしじゃわからないな」


たしかにそうだ。
僕は余命が見れるけど、成田さんは見れないんだ。


「今は1年あげる、とか具体的年数で願ったりしてない。ただ強く生きて、って願うの」
「うん」
「この能力に目覚めた時が1年だったからそこで設定されたのかもしれない。だって、わたしがあげた人に触れたでしょ?」
「1年だった」
「じゃあそういうことじゃない?」
「そうか」


初めて成田さんが余命を渡すところを目の当たりにした時。
特に大きく何かが周りに起こるわけではなかった。

成田さんの周りだけ別空間のようだった。

そのあと、成田さんが触れていた人に触れたらたしかに【1.0】と数字が見えた。

今は年数を決めずに願うだけ。

じゃあ、そういうことなんだ。