君が僕にくれた余命363日


成田さんに教わってだいぶ使えるようになったスマホでメッセージを確認する。


《ひとりめ見っけ》


その文字と一緒に、悔しそうな表情をしている木下さんの写真が送られてきていた。

もう見つかったのか。

開始から10分も経っていないのに。

あと、木下さんの後ろに映る体育館から見て、講堂あたりに隠れていたと把握できた。

講堂はこの場所から距離がある。

まだ僕が見つかることはないだろう。

安心してスマホを閉じる。

壁に背を預けて時間が過ぎるのを待つ。


……何してるんだろうな。


少し前の僕じゃ考えられなかった。

クラスメイトと話すだけでなく、放課後に遊ぶなんてさ。

拒否することもできたはずなのに、それをせずにズルズルとなんだかんだ一緒にいるようになった。

仲良くなりたくないって思っていたのに。

ジローと木下さんは仲良く101歳まで生きるとわかったからだろうか。

余命を知って、笑えたのは初めてだった。

さすがにそこまで長生きだと怖いと思わない。

むしろ安心できたくらいだ。

でも、成田さんは……。


――ガラッ


急に扉が開く音が聞こえて、ヒュッと息を吸った。

勢いよく開けられたドアはゆっくりと閉められて、人の気配が近づいてくる。


ジローか?

いや、吹奏楽部の部員という可能性もある。

用がないと入らない部屋だから。

だとすればかくれんぼの鬼になっているジローの可能性も十分に高いけど。


近づく足音に鼓動が速くなるのを感じながら息はひそめて、ドラムの隙間から確認しようとする。

誰かはわからない。

誰だ……?

思わず重心を少し動かした時、ぶつかったのかドラムスティックが落ちた。


「わっ」

床とドラムスティックがぶつかる音に反応した人影が声を上げる。

その声で誰が入って来たのか、顔を見なくてもわかった。


「成田さん」
「え!?瑞季くん!?」
「しー、静かに」


大きな声を出す成田さんに言葉とジェスチャーで伝える。