君が僕にくれた余命363日


「瑞季は先がいい?あとがいい?」
「選んでいいよ」
「じゃあ俺が先行くわ」


僕は体力がないからアップはストレッチ程度で、前屈をしていると話しかけられた。

普通に話してくるけど初会話なんだよな。

いちいち初めて話す、とか気にするのは僕だけなんだろうか。


「瑞季って最近、木下や成田と仲良いよな」
「仲良いというかなぜか一緒にいるだけだけど」
「あと違うクラスの男子も一緒でさ、なんかそこのグループ楽しそうだよな」
「そう」


すごく話しかけてくるな。

さっきまで苗字だと勘違いしていた名前を普通に呼んでいるし。

高校生はみんなこんなふうにフランクなんだな。


「で、どっち?」
「どっち、とは?」

「木下と成田。どっちかと付き合ってんの?」
「それ俺も気になってた」
「わかる。実際どっちなんだろうって」


人数が増えた。

ストレッチをする僕の周りに、興味津々と言わんばかりに近づいてくる。

女子といるとこんなふうに思われるのか。


「どっちとも付き合ってない」
「まじかよ。じゃあ何?」
「普通にクラスメイトだよ」
「えー、俺らもクラスメイトなのに一緒にいてくんないけど」

「瑞季がいいってことは、やっぱりミステリアスだから?」
「謎があるほうが暴きたくなるからモテるのか」
「顔は?瑞季、前髪上げてみて」


3人とも僕のことを名前で呼んで、グイグイくる。

6つの目が僕を捉え、それに抵抗する力のない僕は控えめに前髪を片手で上げた。


「お~、特別イケメンってわけでもないけど、普通にかわいい顔してんな」
「前髪切れよ。俺が切ってやろうか?」
「そのセンスのない前髪にされるほうがかわいそうだろ」
「あ?」


睨みあいが始まり苦笑い。

気まずいな。
僕はどうすればいいのだろうか。

そう思った時、体育教師がホイッスルの音で集合の合図を出す。


「行くか」


そこで睨み合いは終了し、体育教師の前まで軽く走る。

体育座りをして説明を受けてから、1組目がスタートした。