「瑞季、これ食ってみ。超美味いから」
「ジローは味覚おかしすぎ」
「うぇ~、水。水ちょうだい」
ニコニコしているジローと眉をしかめる木下さん、喉を押さえながら水を求める成田さん。
カオス以外の何物でもない。
今は昼休みで、僕の席にこの3人が集まってきている状態。
ジローはクラスが離れているのにわざわざこの教室まで来ている。
初めて4人で放課後を過ごした次の日からこの4人で昼休みを過ごすようになった。
すでに1週間が経っている。
賑やかなのにも少し慣れ始めてきた自分がいる。
「はい、花純」
木下さんが成田さんに水の入ったペットボトルを渡す。
それを受け取りすぐにいっき飲みをした。
「……ぷはぁっ。ありがとう!」
ジローが買ってきた新発売のグミを食べて瀕死だった成田さんが復活する。
グミだけでここまで苦しむとは、怖いおやつもあったもんだ。
「うん。それにしても、花純にこんなの食べさせて、どうなるかわかってるの?」
「いや、美味いって。花純の味覚がおかしいだけ」
「はぁ?ここまできて花純の味覚だって?」
「じゃあ瑞季に決めてもらおうぜ」
「いいよ。日野がおいしいって言ったら、あんたの味覚を認めてあげるよ」
どうしてそうなる……。
ふたりから強い視線を向けられて逃げられない状況。
仕方がない。
覚悟を決めよう。
さっきの成田さんの様子は見ている。
水はキャップを開けて、手に持っておこう。