君が僕にくれた余命363日



「ここは俺が払うから」
「あ、自分のは……」
「いいんだって。瑞季もさっきは悪かったな」


財布を出そうとする僕の手を止めて、本当に全員分を払ってくれたジロー。

男前すぎるな。


「ジロちゃんありがとう」
「ごちー!」
「僕の分まで、ありがとう」
「いいってことよ。もう俺ら友達」


ニッと歯を出して笑うジロー。

心にじわっとよくわからないけど、広がる感じがした。

違和感はするけど、嫌な気分ではないから気にしないでおく。


「花純も日野も今日はありがとう」
「さんきゅーな」
「こっちこそありがとう。楽しかった」
「日野は花純のこと送ってあげなね!」
「えぇ!?」
「男ならかわいい女子をしっかり送り届けてやれよ」


驚く僕に、ニヤニヤしたふたり。

明るいのに送るのか?
でも、ここでバラバラになるのも変なのかな。

よくわかんないけど。


「わかった」
「素直じゃん」
「さすが瑞季」
「今、かわいいって認めた!?認めたよね!?」


そこかよ、と僕はため息をつくけど、ジローと木下さんは声を出して笑っていた。

この場に温かい空気が流れる。


「じゃあ、また明日」
「またなー!」

手を振り、ふたりは歩き出す。


「またね!」

成田さんも大きく手を振って見送っている。

ふたりが完全に前を向いた時に、成田さんは僕のほうへ体を向けた。


「まだ時間ある?」
「うん。というか送るよ」
「べつにいいよ。ふたりに言われたからってそこまで気をつかわなくて。らしくないじゃん」
「成田さんこそ、気をつかうなんてらしくないじゃん。送るから」
「わたしの家が知りたいんだね。それなら仕方ないなぁ」
「もうどうとでもとってくれたらいいよ」
「とりあえず遠回りして帰ろう」


何で?
と思ったけど、成田さんが歩き出したからついて行く。