君が僕にくれた余命363日


「日野のジョークってわかってたよ」
「瑞季くんはもやしだし、そんなに食べられないよね」
「それは余計な一言」


成田さんは僕のことをからかい始める。

今はジローのターンじゃないのか?

あわよくば、隙を見て僕をいじろうとしてくるな。

隣の成田さんを睨むけど、ウインクをして余裕な表情。

突然のウインクに僕は驚いて顔を引いてしまった。


「瑞季が花純に誘惑されて照れてるぞ」
「かわいいじゃん」
「瑞季くんもわたしの魅力には勝てないのね」
「はぁ……注文するよ?」


テーブル横のタブレットを持ち上げて真ん中に置く。

その間もいろいろと3人に言われていたけど、すべて聞き流した。

聞き流すことは得意中の得意だ。

ぼっちを極めてきた僕に培われた最強スキル。

ドリンクバーとパフェやケーキを各々頼み注文を済ませる。

ドリンクを取りに行く間も、テーブルに戻ってからもずっと話し続けている。

3人とも口が止まらないからすごい。

学校でのこと、お互いのこと、芸能人のこと。
話がどんどん広がっていき、休まる時間がない。

パフェやケーキが運ばれてきても、会話のテンポは落ちないから圧倒される。


「あ、電話だ。ママから」
「出ていいよ」
「ごめんね」


しゃべり続けて数時間。

僕は適当に相槌を打っているだけだったけど、あっという間に過ぎていた。

木下さんのスマホが鳴ったことで、やっと静かな時間が訪れる。


「了解。ジローは今一緒にいる。わかった。じゃあ」

短い言葉でポンポン返していき、スマホを耳から外す。


「ごめん。もう夕食だから帰って来いって言われちゃった。秋山家も一緒にバーベキューするんだって」
「まじか。やったぜ!肉食える!」
「ほんとごめんね」
「ううん。じゃあ今日は解散で」


成田さんがそう言いながら立ち上がる。

それに合わせて僕たちも立ち上がり、カバンを持って会計へ。