君が僕にくれた余命363日


握手は手を開かないとできない。

何だろうか?

じっと出された拳を見つめてから、とりあえず手を出す。


「勝ち」
「負けたー!……じゃなくて!」


パーを出して言えば指摘される。

僕はこういうの知らないんだよ。


「グータッチだろ」
「グータッチ?」
「ほら、グーにして」


言われた通り開いていた手を握りグーを作る。

するとすぐに、ジローの拳が僕の作った拳に当てられた。

顔を上げるとニッと笑ったジローと目が合う。


「もう俺らは友達」


友達はそんな簡単にできるものなんだな。

高校入学してからひとりもいなかったのに、ここ数週間で3人できてしまった。


「ずるい。わたしのことは花純って呼んでくれないのに」
「なんと、俺がいちばん?」
「でも友達歴はわたしがいちばんだよ」
「あたしは今日初めて話したけど、ジローより数時間早い」
「時間も大事だけど、それよりも濃さだろ」

「確かにジロちゃんは美玲と時間は長くても濃くないもんね」
「花純でも容赦せんぞ?」
「花純を傷つけたらあたしが容赦しないからな?」


バチバチしている。

だけど、すごく楽しそうでみんな笑顔だ。

少し前の僕も友達はいたけど、ここまで気を許していたっけ?

こんなに相手のことを想うことができていたかな?


他人と距離をとるようになってから、友達がいなくても特に不便もなく寂しさも感じなかった。

だけど、この3人はきっと、誰かひとりでも欠けたら寂しいって思うんだろうな。

一緒にいるだけで楽しいということが僕にまで伝わってくるんだから。

こういうのを、友達って呼ぶんだろうか。