君が僕にくれた余命363日


「瑞季くん?」

不思議そうに僕を見つめる成田さんを見つめ返す。


「もしかして、わからない?」
「……うん」


隠しても仕方がないので、正直に頷く。

連絡先を交換したことがないから、方法なんてわかるわけがない。

それに加えて僕は機械にとことん弱い。

スマホを持っていても、機能の半分も使いこなせていないと思う。


「じゃあ教えるね。って、ロック画面初期設定のまんまじゃん!」
「仕方ないでしょ。笑わないでくれる?」
「ごめんごめん。まずここをタップして」
「タップ?」
「指で押すの。そこからですか」
「仕方ないでしょ」


クスクスと笑う成田さんに、僕はそこまでひどいのかと自覚する。

昔はこんな機械はなかったのだから、わからなくても生きていける。

そのことはすでに昔の人たちが証明している。

それでも、成田さんに笑われるのはなんだか悔しいから、今後はスマホの使い方を覚えていこう。


「次はここを押して、そのあとわたしの画面を映して」


言われるままに従う。

僕のスマホに四角の枠が出てきたから、成田さんの画面を映す。

すると一瞬で画面が変わった。


「次はそこ、押して」
「押した」
「おっけー。何か送って」
「え?何か……」


そう言われても困る。
とにかくまだ何もない画面に、文字を打った。


「あ?」


成田さんのふざけた声はケンカを売っているわけではない。

僕が送った文字を読んだだけだ。


「何かって言ったから」
「瑞季くんらしいね」


それと同時に、柴犬のイラストが送られてきた。

柴犬なのにお腹を抱えて笑っている。
なんか、ばかにされた気分。


「…………」
「それはスタンプだよ」
「へぇ……」
「これからはちゃんとスマホもチェックしてね。どうせ今まで見てなかっただろうから」
「言い方ひどいね。その通りだけど」


言い返す言葉もなく苦笑いを浮かべた時、成田さんのスマホが鳴った。

成田さんは慣れた手つきでスマホに触れて、耳にあてる。


「はい。うん。今は校門のところにいるよ。瑞季くんも一緒」


電話の向こうの声は聞こえないけど、このタイミングと内容的に木下さんだと簡単に予想がつく。

数言話した後、成田さんはスマホを耳から離す。