君が僕にくれた余命363日


「何かあるの?」
「えっと、何かって?」
「それはわからないけど」
「瑞季くんがわからないなら、わたしにはわからないよ」


そう言って笑顔を作る成田さんに、再びどうしても違和感を覚えた。


「笑顔が違う」
「え……」
「勘違いならいいんだ。変なこと言ってごめん」


成田さんから離れて歩き出す。
だけど心の中は黒い靄がかかったみたいに気持ちが晴れない。

頭は勝手に成田さんのことばかり考えていた。


「ちょっと!先行かないでよ」


一瞬、重くなった空気だったけど、成田さんの声でまた軽くなる。

成田さんは声ひとつでこうして空気を変えてしまうのだから、すごい人であり怖い人でもある。


「瑞季くんが先に行くから、わたしは急いで追いかけてきたのに」
「何で?あとで合流すればいいじゃん」
「どうやって?」
「そんなの連絡をとるなり……あ」


そういえば、僕は成田さんの連絡先を知らない。

もちろん、木下さんのも。

なんならクラスメイトの連絡先も知らない。

今時、そんな人がいるのかと思うけど、それが僕だ。


「ね?わたしたち、連絡の手段ないの。だから、追いかけてきた」
「うん、ごめん」
「いいよ。あとね、これを機に交換しよう」
「……いいけど」
「やった」


素っ気なく返したのに、両手を上げて大袈裟に喜ぶ彼女。

何がそんなにうれしいんだろうか。

たかが僕なんかの連絡先で。

そう思いながら、校門を出てすぐの路地に入りスマホを取り出す。

成田さんもスマホを出して素早く操作をしている。


「はい」

画面を向けられるけど、どうすればいいのかわからない。

これは何?
白と黒の四角い、模様?
最近よく見るけど、連絡先交換でもこれを使うのか?