君が僕にくれた余命363日


「瑞季くーん!」

校門まであと数十メートル。

そんな時に、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。
この声はもう耳に記憶されているから確認しなくても誰だとかわかってしまう。

止まるか、このまま進むか。

二つの選択肢で迷った僕は進むほうを選んだ。

まだ合流するわけにはいかない。

せめて、校門を出てから……。


「瑞季くーん!待ってー!」


後ろからドタドタと足音が聞こえてくる。

ベタ足から振り返らなくても成田さんだと確信がもてた。

このまま逃げたい気持ちのほうが強いけど、周りを気にせずに大きな声で名前を呼ばれるほうが困るな。

そう判断した僕は仕方なく足を止めて振り返った。

僕の視界には成田さんしかいない。

木下さんは来ていないようだ。


「早すぎだよ。一緒に出ようと思ったのに」
「ごめん。でも、木下さんのあの感じで僕が一緒にいたら、勘違いされそうじゃん」
「美玲はノリがいいからね」
「悪ノリの間違いでしょ」
「瑞季くん、言うようになったね」


ははっと声を出して笑う成田さんだけど、どこか笑顔に影を感じた。

疑問に思い、成田さんの顔を覗き込む。


「成田さん」
「え、何?」


顔を覗き込んだせいか、成田さんは驚いたように目を見開く。

そのままキョトンとした表情の成田さんを見る。

さっきの影はない。
勘違いかな。
僕は人の気持ちも空気も読めないから。

そのことには今日の昼休みですでに実感済み。

それでも、彼女の笑顔に引っかかった。