君が僕にくれた余命363日


「もう食べるよ。いただきます」
「ちゃんと手合わせて、偉いじゃん」
「瑞季くんはいつもしてるよね。わたし見てたよ」
「もういいから……」


ふたりそろうとすごいな。

ペースが完全にふたりにつかまれてしまい、僕じゃどうにもできない。

乱されまくりだ。

ここはもうのらないために、弁当を食べ始める。


「いただきます」


成田さんも木下さんも手を合わせて弁当を食べ始めた。

食べていれば少しは静かになるだろう。

なんて、少しでも期待した僕はやっぱり人のことを知らない。


「花純のおいしそう。玉子焼き綺麗に巻けてるじゃん」
「今日のは最高傑作!」
「やるじゃん。あたしも頑張ろう」
「瑞季くんのは誰が作ってるの?」
「母親」
「へぇ、そうなんだ。料理上手だね」
「そう」


上手かはわからないけど、普通においしいと思う。

それは、小さい頃からずっと食べているからで、味覚が慣れたからかもしれない。

そうだとしてもおいしいと思えるならそれがいちばんだ。


「花純はね、自分で作ってるんだよ」


何で木下さんが自慢気なんだ。

でも、自分で作っているのはすごいな。

僕はまだしようと思ったこともない。

成田さんの弁当を見れば、玉子焼きやウインナー、ポテトサラダにトマト。
色鮮やかで普通においしそうな弁当だった。


「すごいね」
「大したものじゃないから」


僕の純粋に出た言葉を謙遜で返された。

成田さんも謙遜はするらしい。


「成田さんは親に教えてもらったりしてるの?それとも本とか?」
「あ……」


僕の言葉に木下さんがハッとしたように声を漏らす。