君が僕にくれた余命363日



「花純も早く机動かして」


話が終わり机と椅子を移動させてくる木下さん。

ご飯の前にお菓子をもらったのか、机には弁当とお菓子の包装紙が置いてある。

そして口がもごもごと動いているから、もらってすぐに食べたことがうかがえた。

もらっても食後じゃないのか、というツッコミが喉まできて飲み込む。


「わたしは瑞季くんの机で食べるからいいよ」
「え、狭いから自分の机で食べてよ」
「何でここは言い返してくるの!?」
「狭いからだよ。べつに悪いこと言ってない」
「わかった。ここで食べる」
「話聞いてた?」


僕の訴えは聞いてもらえず、弁当を僕の机に置くと椅子を反転させた。

木下さんは借りた机で広々と弁当を広げている。


「そっち行きなよ」
「人を邪魔者扱いしないでよ」
「そういうんじゃなくてさ」


仲良い友達のところに行くのが普通じゃないのか?

僕がおかしいのかな。

いや、そんなわけはない。
友達のほうに行くのが自然だ。

僕と彼女はそんな間柄ではない。


「瑞季くんしつこいよ」
「しつこい男は嫌だよね」
「ほんとほんと」
「あーもう、わかったから」
「じゃあ、ここでいい?」
「いいいい!好きにして!」
「その投げやりな感じは嫌だなぁ」


めんどくさい……。
女子ってみんなこんな感じなのか?

男子ですら関わりがない僕は、女子なんて未知の生命体だ。

ため息をついて、成田さんを見るとニヤニヤ。
視線を横にずらし木下さんを見ると、同じ表情をしていた。

楽しんでる……。

軽く睨めば、ふたりは同時に笑い出す。


「ごめんごめん。瑞季くんがおもしろくて」
「日野っていい反応するね」
「でしょー?」


ふたりして盛り上がる。
けど、僕としてはあまりいい気はしない。