今日もいつもと同じように授業を受け、休み時間は次の準備や移動を淡々とし、また授業を受ける。
僕の平凡な1日。
変わらない日常。
昼休みになると、いつも通りすぐに母親が作った弁当を机に広げる。
高校生になってから毎日欠かさず弁当を作ってくれる母親には感謝している。
購買も食堂も行きたくないからな。
あそこは一度も利用したことがないけど、地獄そのものだ。
母親のありがたみを噛みしめながら手を合わせる。
「日野!」
「はい!」
「ふっ、瑞季くんすごくいい返事」
急に名前を呼ばれたせいで、背筋がピンとなる。
前からは成田さんの笑い声。
顔を上げて前に向けると成田さん。
少し視線をずらせばニヤニヤと笑みを浮かべる木下さんが近づいてくるのが見えた。
僕を呼んだのは木下さんだ。
そして、クラスで目立つ木下さんが、クラスでいつもひとりの目立たない僕の名前を呼ぶからたくさんの視線を集めている。
そのことに気づくと、注目されることに慣れていない僕はもちろん戸惑ってしまった。
声も出せずにキョロキョロして、結局どこを見ればいいかわからず成田さんを見ることで落ち着く。
「目泳ぎすぎ」
「視線が痛い……」
「べつにそこまでじゃなくない?」
これだから普段から目立っている人は……。
僕のコミュニケーション能力のなさを舐めないでほしい。
誰にも見つからないような影の薄いぼっちを極めてきたんだ。
それなのにこんな……。
「ひとりで寂しそうな日野と一緒にお昼食べてあげるよ」
「ご遠慮願いたい……」
「はぁ?あたしの誘いを断るつもり?」
やっぱりおっかない。