「お義父さん!?」
「親父!!」


焦って駆け寄る両親。

祖父の肩を何度も叩く祖母。


「救急車!」
「じいさん。じいさんや、聞こえるかいっ」


バタバタと慌ただしく動き回る両親。

祖母は目を閉じている祖父に呼びかけ続ける。


いつか見た医療ドラマのワンシーンみたい。
緊迫した空気の中、遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。

そして、家に救急隊が入ってきて祖父を担架で運び、そのまま救急車に乗せられた。

祖母も救急車に乗り、僕は両親と乗用車で病院へ向かった。





――この日、祖父は死んだ。




両親も祖母も、あとから駆け付けた親戚も、祖父の突然の死に涙を流していた。

僕はなにが起こったかわからず、動かなくなった祖父の前で泣き崩れるいくつかの後ろ姿を、ただ眺めることしかできなかった。


そして、このことをきっかけに僕は気づく。

カウントダウンの意味。


【0】になった日、その人は死ぬ。


触れた時に見える数字は、その人の残りの人生。

つまり余命だということに。


中学2年生の夏。

僕は、触れた人の余命を見ることができるのだと気づいた。