「……成田さん」
「どうしたの?」
自分の中で、答えは導き出せた。
あとは証明するだけだ。
僕が彼女に触れれば、仮定が正しいと証明される予感がする。
こういう時の予感は100パーセント当たるんだ。
手が震える。
怖い、のか?
よくわからないけど、不思議な感情。
僕の知らない、言葉で表せられない感情に支配される。
「瑞季くん」
彼女が僕の手を両手で包み込む。
「大丈夫?顔色、悪いよ」
血の気が引いていくのがわかった。
僕の仮定は、今正しいことが証明されている。
「無理ないよね。あんな現場見ちゃったんだもん」
苦笑いする彼女と目を合わせることができずに、僕は顔を逸らす。
その代わり、彼女に握られた手に力を込めた。
男性の余命が1年増えることと引き換えのように、
――成田さんの余命は、1年減っていた。