始めは、触れた時に現われる数字の意味がよくわからなかった。
でも、小さいころの僕は面白がって、たくさんの人に触れて数字を確かめていた。
両親から祖父母、友達や先生、まったく知らない道行く人まで、いろんな人に触れた。
数字は人それぞれ、全員違う。
同じ数字の人も見たことはあったけど、それはたったの一度きり。
とてもめずらしいことだとわかった。
あともうひとつわかったのは、みんな例外なく共通して、毎日必ず1ずつ減っていく。
なんのカウントダウンかはわからないけど、子ども心としてはそれがとてもわくわくした。
そんな中学2年生の夏休み。
田舎の父方の祖父母の家に遊びに来ており、その時も興味本位でいつものように祖父に触れてみた。
初めて見る【1】という数字。
ということは、明日は【0】になる。
カウントダウンが終わる時、なにが起こるのだろうか。
14歳の僕はわくわくして期待に胸を膨らませながら、次の日を待った。
そしてドキドキしながら迎えた次の日の朝。
祖父に会ってすぐに触れてみれば、数字は【0】になっていた。
やっぱりだ!
と、興奮し今日なにかが起こるに違いない、と確信した。
一体、なにが起こるのだろうか。
祖父の近くでわくわくしながらずっと見守っていると、突然祖父が倒れた。