今日も何の収穫もないまま放課後になる。
わからないことがあると、こんなにもモヤモヤしてしまう。
「花純、帰ろう」
「うん!」
成田さんの一番の友達が成田さんに声をかけた。
彼女は立ち上がって、友達に体を向ける。
「瑞季くんまた明日ね」
当たり前のように僕に笑顔を向けて、手を振ってくれる。
僕は控えめにだけど、手を振り返すことをするようになった。
ぎこちないからだろうかそれを見て、いつもクスっと笑う成田さんは、正直気に入らないけど。
どうせ友達いないから慣れてないんだよ。
心の中で言い訳をして、僕も帰るために立ち上がる。
学校を出て家にまっすぐ帰るつもりだったけど、今日は僕が読んでいるマンガの発売日だったことを思い出す。
思い出したからには手に入れたい。
少し遠回りになるけど駅近くの大きめの本屋に寄り、すぐに新刊コーナーで欲しいマンガを手に取る。
ついでに気になるものはないか、ぶらっと店内を見てから、数冊手に取りレジで会計を済ませた。
マンガを買ったことにより、僕の家に帰ってからの時間の使い道は決まった。
無駄に傷つかなくていいよう、誰にも触れずに早く帰ろう。
そう思い歩みを速める。
この時間帯は学生が多いためぶつからないよう意識を集中し、すれ違う時は大袈裟に距離をとったり、背を向けたりする。
集団で道ふさぐなよ。
と、心の中で悪態をつきながら、なんとかぶつからずに抜ける。
すると、前から俯きがちにおぼつかない足取りで歩くスーツを着た男性が見えた。
様子がおかしい。
体調でも悪いのか?
目だけでその人物を確認しながら歩く。