君が僕にくれた余命363日





「ふっ、そんな動揺しなくてもいいのに」


おかしそうに笑う彼女に、ますます動揺する。

もし明日また、変わっていたら?

そのためにも今、触れないと……!



「もう、仕方ないなぁ」


成田さんが何か言いながら、カバンをゴソゴソとあさっている。

けど、僕は成田さんのよくわからない言動に疑問をもつ余裕もない。

触れたい。たしかめたい。


もういっそ、強引に彼女に飛び込むか?

なんて、思考が回らなくなり、頭の悪い考えまで浮かぶ。


勇気出せ。たしかめてから、たくさん悩もう。

よし。

と心の中で気合いを入れた時。


「はい、どうぞ。これ食べて落ち着いて」


成田さんが僕の手首をつかんで、無理やり前に出させその手に自分の手を重ねた。

驚きのあまり言葉も出ず、ただ目の前の彼女を見つめる。



「あ、溶けてたらごめんね?」
「いや……」
「また明日!」


僕の手を丸めて手の中のものを握らせてから、笑顔で手を離す。

その手を大きく振って友達の元へ行ってしまった。

丸められた手を開けば、いちごのイラストが描いてあるひねり包装の飴。


僕はすぐにそれの端っこを引っ張る。

包装紙にくっついている飴。

ほんとだ。溶けてる。

見た目でもわかるそれを口に入れると、溶けて柔らかくなった触感といちごミルクの甘味が広がる。



……見間違いではなかった。



成田さんの余命は僕が初めて見た時から1年減っていた。

やっぱりそうだった、と思う気持ち半分。

どうして1年減ったのか、という疑問半分。

少しして、疑問が僕の思考すべてを支配する。

こんなのは初めてのことで、考えても考えても答えなんてわからなかった。