「……瑞季くんかな?」


聞き慣れない声で名前を呼ばれ、ゆっくりと振り返ると先ほど挨拶をしていた成田さんのおばあさんだった。

僕は頷いて肯定する。


「これ、花純から」
「え……?」
「花純は自分の運命を知っていたようじゃな」


目を細めて微笑んだおばあさんは、やわらかい雰囲気が成田さんにそっくりだった。

おばあさんが差し出した封筒を受け取る。

おばあさんはニコッとまた笑ってから僕に背を向けた。

だけど、やっぱり目は赤くておばあさんもたくさん泣いたのだとわかる。

いろいろな感情に押しつぶされそうになりながら、深呼吸をひとつして封筒を開けた。