次の日、退院をして家に帰る。

右足の骨が折れていたみたいで松葉杖が必要だけど、それ以外は打撲だったり擦り傷だったりで平気。

両親も医者も本当に安堵していて、そこまで心配するほどだったのか?と疑問に思った。

スマホを見ようとしても充電が切れていたため、充電器に差してから起動させる。

そこで目を疑った。
すごい数の着信がジローと木下さんから入っていた。

どうしたんだろう。

僕が病院に運ばれたこと知ってるのか?

とりあえずジローに折り返す。


「あ、もしもし。すごい着信だったけどどうかしたの?」
『…………』


通話中のはずなのに返事がない。
不思議に思い首を傾げる。


「ジロー?」
『……落ち着いて聞け』
『……うっ……ふぅ……』


ジローの今までに聞いたことがないほどの低い声。

それに、後ろから嗚咽のような声まで聞こえる。

泣いているところを見たことはないけど、木下さんの声に思う。

心臓が嫌な音を立て始めた。
今日見た嫌な夢を思い出す。

聞きたくない。

耳を塞ぎたい衝動に駆られる。

心臓が飛び出すかと思うくらいに動いている。





『……花純が死んだ』

「……………え?」


頭が真っ白になる。
嘘、だろ……。
聞き間違い?