ゆっくりと目を開ける。

眩しい光にすぐ開けた目を細めた。

そして少し慣らしてから再び目を開ける。


「瑞季!?」
「瑞季、わかる!?」


お父さんとお母さんの顔が映りこんできた。
ここはどこだろうか。


「先生呼びましょう」
「よかった。瑞季、本当によかった」


お母さんが何かを押す。
だんだんとはっきりとしてきた意識で、この鼻につく匂いや天井で病院だと気づいた。


「瑞季覚えてるか?お前、子どもをかばって自分が鉄骨の下敷きになったんだよ」
「意識不明の重体だったのよ」


そうだったのか。

そういえば、鉄骨が落ちてきて子どもを突き飛ばしたところまでは記憶にある。

そのあとは何も……。


「丸1日寝てたんだから」
「い……ゴホッ……」
「あ、水飲む?」


言葉を発そうとしたけど、上手く声が出なかった。
お母さんに支えられながら体をゆっくり起こす。

正直、痛みはある。
でも思ったよりも大丈夫そう。

水を一口潤す程度に、と思ったけど喉が渇いていたみたいでいっきに飲んだ。


「今、何時?」
「もう夜だよ。明日には退院できるかな」


お母さんの言葉通り、お医者さんが診に来て明日には退院となった。

でも当分、通院はしなくてはいけない。

それほど僕は重体だったようで、生きていることが奇跡らしい。


「あ、そういえばかわいい女の子がね……」

お母さんが何か言っている。

でも僕はまだ万全ではなく意識が朦朧としてくる。
いろいろ考えたいことがあったはずだけど、まだ体がだるかったこともあり抗わずにそのまま眠りについた。