君が僕にくれた余命363日




成田さんと約束を交わした日から、僕はできるだけ成田さんの傍にいるようにした。

クラスメイトとも話すようになった。
友達と呼べる人も増えた。

だけど、優先順位は成田さんがいちばんで、僕自ら成田さんに話しかけ近づく。


「瑞季くんわたしのこと大好きだね」


なんて茶化してきた時にはむっとしたけど、それでも彼女の傍を離れたくないと思った。

成田さんと関わってから、僕が僕じゃないみたいだな。
らしくないことばかり。

僕は成田さんと一緒にいたい。

でもそれ以上に成田さんに生きてほしいと願っている。

この数日間で、僕は考えたことがある。

成田さんの運命を変える、と。

小学生の運命を変えたように、成田さんの運命を変える。

あの時たしかに小学生の運命は変えられた。

小学生の運命を変えたのは僕だ。

だけどその代わりに別の人の運命まで変わってしまい、結果を変えることはできなかった。

神の決めた運命は絶対でそのしわ寄せが誰かにいくというのなら、それを受けるのは……。


「瑞季くん、帰ろう!」


放課後になり成田さんが声をかけてくる。
返事をしてからカバンを持って立ち上がった。


「あれ、ジローと木下さんは?」
「ふたり仲良く補修だって」
「あー、この前のテストの」
「そうそう。学年通してふたりだけだったみたい」
「仲良すぎだね」


補修だとしてもジローは木下さんとふたりで喜んでいそうだな
木下さんはたしか回答欄がずれていただけだったみたいだけど。

補修を受けると決まった時、この世の終わりかと思うほどのリアクションをとっていて笑った覚えがある。


「ほんとに。わたしたちも負けないくらい仲良しだけどね」
「そうなの?」
「えぇ!?違うの!?」


出た、オーバーリアクション。
芸人ばりの反応に小さく吹き出す。


「帰ろう。家まで送るよ」
「え、せっかくだからどこか寄ろうよ」
「今日と明日は家でおとなしくしといて」
「えー」
「そのあとは成田さんのしたいこと、何でも付き合ってあげるから」
「瑞季くんがそう言うなら……。んー、何してもらおうかな?」


顎に手を当て考え始める成田さんを見てから歩きだす。

今の成田さんの余命は【1.1】だ。

1年と1日。366日。


試したことはないし試してもらうつもりもないけど、成田さんは1年単位でしか渡したことがない。

たぶん、1年ずつしか渡せない。

そうなれば1年切ってしまえば、成田さんは余命を渡す能力を使えない。

使えないならそこからは規則正しく減っていくだけ。

成田さんの余命が尽きる時、僕がどうにかして変える。

代わりは僕がなってでも。
だから今はむしろ、早く1年切って成田さんの能力を使えないようにしたい。