嫌な予感が止まらない。
僕は浮かれていて意識していなかったけど、ここ最近成田さんに触れていない気がする。
いや、気がするじゃない。
触れていない。
どうして今まで気づかなかったんだ。
成田さんの貼り付けたような笑顔に違和感を覚えていたのに。
距離ができたのは、僕に話しかける人が増えたからではなく、成田さんが距離をおいていたからだ。
以前の僕だってやっていたことじゃないか。
心臓がうるさく脈打つ。
「今日は僕とふたりで帰ろう」
いつもジローと木下さんも一緒だった。
だけど、その時も成田さんは木下さんの傍にいて僕に近づかなかった。
成田さんがそうする理由なんて、ひとつしかない。
「……わかった」
返事をした成田さんの笑顔は引きつっていて、笑顔を作り切れていなかった。
成田さんは昼休み以外の休みは僕から離れた。
代わりに佐藤、吉田、川上のサッカー部3人組が僕の席に来てわいわい騒ぐ。
だけど思考の全てを成田さんに支配されて、何の話をしていたのかは3人には悪いけど覚えていない。