振り返った成田さんと視線が交わる。


「どうしたの?」
「あのさ……」

「瑞季、日曜部活休みなんだけど遊ばね?」


成田さんに声をかけたところで、佐藤からの誘いがくる。
タイミング悪い。


「わかった」
「よっしゃ。じゃあ、また前日に場所と時間送るわ」
「うん」


今は約束よりも成田さん優先だから、申し訳ないけどその場をすぐに終わらせる。

佐藤に視線だけ向け返事をして、すぐ成田さんへと視線を戻した。


「瑞季くん、みんなと打ち解けたね」


僕が話す前に成田さんが話し出す。
今もニコニコと作ったような笑顔を浮かべている。


「やっぱり瑞季くんはみんなの輪の中心にいるタイプだったね。わたしの言った通りでしょ」


どうしてだろうか。

成田さんのこの笑顔を見ていると、理由もなく胸が締め付けられる。

そういえば……。

ふとあることに気づき、成田さんに手を伸ばす。


「何、急に!?」
「あ、いや、肩に糸くずがついてたから」
「ほんとに?どこだろう」


僕が伸ばした手に過剰に反応して、避けるように身を引いた。

そして肩を自分でパパッと払っている。

やっぱりおかしい。
成田さんはボディタッチが多い。

それは成田さんと関わるようになってからずっとそうだった。

だから、初めに成田さんの余命が減っていることに気づいた時には、僕からは触れずに確認できた。

それなのに今は僕が触れることを拒んだように見えた。


「……成田さん」