次の日、学校へ行くと校長室に呼ばれた。

校長先生と担任と学年主任がそこにいて、僕は事件のことを聞かれた。

昨日の警官と同じように無理したことは十分に注意をされたけど、これまた同じように小学生を守るための勇気ある行動は認めてくれた。

それでも、僕はまだ高校生で守られる立場にあることも丁寧に説明される。

反論するようなことでもないため、しっかりと頷いて話を聞く。

今回の行動がいいことでもあり、悪いことでもあった。

だけど勇気ある行動で小学生を救ったからと、1週間後の全校集会で感謝状なるものを渡され表彰された。

今まで誰とも深く関わらず目立たないようにしてた僕が、こうして全校生徒の注目を浴びることになるなんて誰が想像できただろう。

ほんと、成田さんと関わってから僕の世界がいっきに変わった。


「よ、ヒーロー」
「本日もパトロールお疲れっす」


それ以来、廊下を歩くだけで声をかけられる。
いじられてるんだろうな。

でも、そこは培ってきたスルースキルで乗り切る。


「お勤めご苦労様です」


教室に入ると敬礼をする男子3人組は完全にいじっている。
佐藤と吉田と川上。

体育でペアを組んでから話すようになり名前も覚えた。

今ではこのクラスでいちばん話す男子となった。

他クラスも合わせれば、もちろんジローだけど。

とにかく、今年度になって僕の周りの環境は変わり始めていたが、あの一件でより大きく変わった。

今までは他人と関わりたくなかったけど、僕の気持ちも少し変化した。

運命を変えられたことで、この能力を肯定的にとらえるようになった。

たしかに精神的にも身体的にもすごい労力を費やした。
だけど、そこまですれば変わる。