「お互いに、お疲れ様」
「お疲れ様。じゃあ、美玲たち待ってるし……」
「あ、君たち。ちょっと話いいかい」


成田さんの言葉を遮り、警官がやって来る。
事情聴取ってやつだろう。


「はい」
「今日は美玲たちと合流できないね。連絡だけ入れておこう」


成田さんは長くなると思ったのか、スマホを素早く操作してからポケットに入れた。

それからふたりで警官と今回の件について話をした。
質問されたことについて答えるくらいだったけど、思いのほか時間がかかった。

そして、無理をしたことを再び注意された。
でもそのあと、子どもたちを守ろうとした勇気を褒めてくれた。

たくさん話をして、いちおう学校にも連絡をすることを伝えられ、事情聴取は終わる。


「はぁ、いっきに疲れた」
「わたしも」
「現実とは思えない出来事だった」
「すでに夢のようだよね」


成田さんと並んで歩く。
いつからか当たり前のように成田さんを家まで送るようになっていた。


「ゆっくり休んでね」
「成田さんも」
「じゃあね」
「うん。また明日」


僕の言葉にニコッと微笑む成田さん。
機嫌がいいのかずっとニコニコしている。

あれだけのことをしたのだから、成田さんもヒーローみたいな気持ちでいるのかもしれない。

僕もまるで少年漫画の主人公にでもなれたかのような気分だ。

僕は運命を変えることができて初めて、余命が見えるこの能力を少しだけいいものと思えた。